国内に輸入されるコーヒーは、生豆と言われる状態で扱われています。 つまり、コーヒー生産国では、コーヒーノキの栽培と木の実の収穫、木の実から生豆を作るという作業が行われているのです。 一杯のコーヒーを入れるには、この生豆を火で煎り(焙煎)、粉にして(グラインド)、お湯を注いで(抽出して)始めてでき上がるのです。
ここでは、まず、木の実から生豆を作る方法を述べたいと思います。 何故ならば、この方法によってコーヒーの生豆が大別されているからです。 この生産方法には、水洗式と乾燥式(非水洗式)の2つがあります。
一つ目の水洗式は、木の実の果肉部分を水槽内で腐らせて取り除く方式です。 この水洗式の作業手順をまとめます。
水洗式の生豆:均一な緑色をしている カロシ(インドネシア) |
二つ目の乾燥式ですが、木の実を乾燥させて果肉を脱穀する方法です。 乾燥式の作業手順をまとめます。
乾燥式の生豆:黄色っぽい不均一な色をしている マンデリン(インドネシア) |
外見以外でも、これらの製法によって違いが出てきます。 乾燥式のコーヒー豆は、天日干しをしている間に小石などの不純物が混じったり、虫食いの豆が多かったりします。 対して、水洗式のコーヒー豆は水分を多く含んでいるため、焙煎による内部と外側の焼けムラが出やすくなります。 また、水洗式は年月が経過すると味わいがまろやかに変わり、甘味が増して軽くなります。 香味としては、水洗式製法では香りと良質の酸味が楽しめ、非水洗式ではなんとも言えぬ円熟したコクが楽しめます。
実際に世界で取り引きされるアラビカ種のコーヒーは、上記の作業方法によって大別されています。 水洗式のものをマイルド・コーヒーと呼び、乾燥式をアンウォッシュド・アラビカ・コーヒーと呼びます。 マイルド・コーヒーの中でも、生産国がコロンビア、ケニア、タンザニアのいづれかである場合をコロンビア・マイルド・コーヒーと呼び、その他のマイルド・コーヒーをアザー・マイルド・コーヒーと呼んで区別をしています。 これにロブスタ種を合わせた4種類が取り引き別のタイプ分けになります。
取引上は、アザー・マイルド・コーヒーはコロンビア・マイルド・コーヒーより下のランクとされています。 しかし、実際の価格は別で、ケニアなどは安価でブレンド用の配合として用いられています。 対して、アザー・マイルド・コーヒーのハワイコナやブルーマウンテンは、どのコロンビア・マイルド・コーヒーよりも高価であるのはご存知の通りです。
以上の4タイプを以下の表にまとめます。
取り引きのタイプ | 生産国 | 種類及び生豆精製法 |
---|---|---|
コロンビア・マイルド・コーヒー | コロンビア、ケニア、タンザニア | アラビカ種、水洗式 |
アザー・マイルド・コーヒー | グアテマラ、メキシコ、ジャマイカ等 | アラビカ種、水洗式 |
アンウォッシュド・アラビカ・コーヒー | ブラジル、エチオピア等 | アラビカ種、乾燥式 |
ロブスタ種 | インドネシア、インド等 | ロブスタ種 |