炭火焙煎を始める

炭火焙煎の準備は、まずは炭火を起こすことから始めます。 炭火の起こし方についてですが、着火用燃料を使用したり、薪から火を移したり様々な手法がありますので、ご自分にあった方法を選択してください。 今回は、ガスバーナーで炭を熱して、一気に炭火を作る方法を採りました。


ガスバーナーで一気に炭火を作る

充分に炭に火が回ったら、次に焙煎の準備に移ります。 手網の中にハンドピック済みのコーヒーの生豆を入れます。 それを持って起こした炭火の前に立てば、すべての準備は完了です。


準備完了

では、焙煎を始めます。 生豆を手網にセットしたら、炭火にかざします。 始めは、豆の中心部と外側の火の通り方を均一にして、焙煎ムラを押さえるために水分を抜きます。 水分抜きは、手をかざすとやや熱い程度の所で、手網をゆっくり揺すり続けます。 この時には、手網の蓋を開けておいてください。


やや遠火で、ゆっくり揺する

水分抜きを始めた生豆からは、少々生臭い臭いがします。 始めての焙煎の時には、この豆は腐っていると思うかもしれませんが、心配しないで下さい。 焙煎が進むにつれて生臭さは消え、どんどん香ばしい香りに変わっていきます。 この水分抜きは、生豆の生臭さを抜く過程でもある事を覚えておいて下さい。

生豆から水分が抜けてくると、色が変わってきます。 始めは黄緑色又は緑色をしていますが、きれいな緑白色を経由して、だんだんと黄色味を帯びてきます。 それに伴い、少しずつ手網を炭火に近づけていきます。 この頃になると、香りは少しずつ香ばしさを帯びていきます。 また、この頃にコーヒー豆の皮が飛び散り始めます。 この皮が焦げるとコーヒーに焦げ臭い臭いが移り、かつ、好ましくない苦味が着いてしまうので、取り除きます。 これには、手網を少々強く揺すり、上昇気流を使って手網の外に飛ばしてやります。


緑色の生豆が黄色味を帯びてくる

この頃になると軽く揺すり続けている疲れを感じるようになりますが、手を抜かないようにしましょう。 ここで手を抜くと、生豆の片面のみ水分抜きされている状況に陥るかもしれないからです。

全体的に茶色が濃くなってきたら、手網の蓋を確実に閉めて、本焙煎に取り掛かります。 本焙煎では、手網を炭火に一気に近づけ、かなり早いスピードで手網を揺すります。 ここで手網をゆする手を休めると、片面だけが焦げている焙煎ムラが生じてしまいます。 手網の蓋を閉め忘れると、熱い豆が飛び散って、火傷の原因となります。


水分が抜けたら、網の蓋をしめて本焙煎に入る

本焙煎に入ってしばらくすると、パキッ!パシッ!という高い音を弾ませながら、1回目のはぜが始まります。 甘みを帯びたコーヒーの高い香りが広がります。 1回目のはぜが全体に広まり始めたら、気持ち手網を炭火から遠ざけます。 しかし、距離を開けても、手網を揺する手を休めないで下さい。 コーヒー豆がかなりのスピードで焙煎が進行していくため、ここで手を抜くと焙煎ムラができてしまうからです。


手網を激しく揺すり続ける

1回目のはぜが終了すると、しばらく音が無くなります。 この辺りが、ミディアム・ローストからハイ・ローストとなります。 この辺りが好みの方は、焙煎終了です。 コーヒーショップで売られている豆は、この辺りが多いです。

やや深煎りの好きな方は、ここからさらに揺すり続けます。 すると、先ほどの香りがだんだん落ち着いてきます。 この辺りがハイ・ローストからシティ・ロースト辺りとなります。 日本国内での一般的な焙煎具合で、苦みと酸味のバランスが味わえます。

このまま揺すり続けると、2回目のはぜが起きます。 1回目の音と違い、低いミシッ!ピシッ!という音で、同時に煙が出始めます。 2回目のはぜが起きている状態がフル・シティ・ローストです。 苦みやコク、香ばしさが本領を発揮し、酸味は少なく香りも押さえられてきます。

この後は、フレンチ・ローストイタリアン・ローストとさらに深くなっていきます。 そして、それ以降の焙煎は、コーヒー豆を炭に変換するだけとなりますので、適当な所で終了して下さい。

コーヒーの焙煎を終了した後は、急速に冷却しなければいけません。 団扇などで送風し、一気に冷やしましょう。 焙煎されたコーヒー豆の取扱には注意してください。 コーヒー豆は、生鮮食品です。


焙煎終了後には、一気に豆を冷却する

最後は後片付けです。 周囲に飛び散ったコーヒーの皮が焙煎を行った周囲だけでなく、頭の上(髪の毛の上)、鼻や眼鏡の上などにも乗っかっています。 また、炭火の取扱には、充分注意してください。 検討を祈ります。