少々間があいてしまいましたが、コラム第5回です。 前回までのコラムで美味しいコーヒーの定義をしました。 しかし、それを実際にどう実現すれば良いのかには触れてきませんでした。 家にはコーヒーメーカーしかないからと、美味しいコーヒーに尻込みさせてしまったかも知れません。 そこで、今回は最も一般的で、最も愛好家の多いドリップコーヒーを取上げ、美味しいコーヒーの入れ方を題材としたいと思います。
ドリップコーヒーはコーヒー抽出法の中で、最も基本中の基本の方法です。 一般的にコーヒーというと、まず確実にこの抽出法でいれたコーヒーとなります。 しかし、ドリップコーヒーと聞くと通人は、やれネルドリップとか、ウォータードリップと主張する人がいます。 そして、コーヒーを入れる人間の技量によって味が全く別物になるといいます。 では、プロではないけど、美味しいコーヒーを家庭で飲みたい人はどうなのでしょうか? やっぱりコーヒーをいれるのは難しいのでしょうか?
[答え]ドリップコーヒーは基本的な抽出法だけに、非常に簡単です。
家庭用のコーヒーメーカーも原理的にはドリップコーヒーです。 挽いたコーヒーの粉にお湯をかけ、紙や布で漉すだけです。 という訳で、この基本を押さえていれるのは、コーヒーメーカーという機械にもできています。 で、前回のコラムのおさらいにもなりますが、美味しいコーヒーの原則は、煎りたて、挽きたて、いれたての3点です。 従って、コーヒーメーカーではいけないという事は全くありません。 結論としては、コーヒーショップで鮮度の良い豆を購入し、それを使ったできたてのコーヒーが美味しいコーヒーなのです。
では、何故ドリップコーヒーの入れ方は何通りもあって、あれがうまい、これはまずいだのといわれるのでしょうか? それは、ドリップコーヒーの入れ方の違いによる微妙な味の違いを比較しているからなのです。 つまり、コーヒーメーカーはネルドリップと比べると、いれたコーヒーの味に違いができます。 当然、ネルドリップの方が美味しいコーヒーとなりますし、いれるのも難しいでしょう。
が、これは秋の旬の時期の秋刀魚を炭火の七輪で焼くか、オーブンレンジで焼くかの違いでしかないのです。 つまり、秋刀魚そのものが美味しければ、どちらも十分美味しいのです。 結局のところ、秋刀魚そのものが美味しくなければ全く意味がなく、旬の秋刀魚か否かが重要なのです。 と言うことで、美味しいコーヒーを手軽に飲みたい方は、コーヒーメーカーでも十分です。 ただし、何度も述べているように、コーヒーの鮮度には気を付けてください。
一般に抽出法が議論となるのは、美味しいコーヒーを飲みなれた人間がより美味しくという所から始まっています。 いつもコーヒーを飲んでいれば、当然舌も肥えてくるので、これらの味の差も解かってきます。 そして、自分でいれてみれば、その難易度も解かってきます。 そういう人間が集まったところでは、美味しいコーヒーという議論は、最高のコーヒーをいれるにはという議論に摩り替ってしまうのです。 もしくは、かれらの持つ知識と経験が一人歩きすることで、その知識をどこぞで仕入れてきた人間が呪文のように唱えているだけの事です。
では、彼らの言う最高のコーヒーを飲みたい場合にはどうすれば良いのでしょうか? 確かに、本当に美味しいコーヒーをいれるのにはそれ相応の技術がいります。 ですからそれこそは、コーヒーのプロに最高のコーヒーをいれされば良いことでしょう。 かれらはそれで飯を食っている位ですから。
では、せっかくですので、コーヒーを飲みなれ始めた方への、より美味しくというワンポイントを述べてみたいとおもいます。
どうしても、もっと美味しいコーヒーを家庭で飲みたい人だけ、コーヒーメーカーから別のいれかたを試してみてください。
私の個人的な意見としてですが、家庭で飲むコーヒーは、やはりアットホームなコーヒーのほうが安心できます。 寝起きにブラックで真剣に味あう必要のあるプロのコーヒーよりも、たっぷりミルクの入ったいれたてのコーヒーのほうが良いでしょう。 以上、コラム第5回を終わります。