大変、間が空いてしまい、久しぶりとなりました。 第9回のコラムです。 前回までは、ドリップコーヒー、サイフォンコーヒーといった室内におけるコーヒーの楽しみ方という事に焦点を当ててきました。 で、今回は、アウトドアでのコーヒーに焦点を当てたいと思います。
秋に旬の食べ物を、野外で炭火で楽しんだ後に、そのまま美味しいコーヒーで締めたいと思うことも多い事と思います。 しかし、野外でペーパードリップやサイフォンでコーヒーをいれるのは考え物です。 せっかくのアウトドアですから、もっとワイルドに行きたいものです。 では、どうすれば炭火で焼き茄子を作っているような場所で、コーヒーを作れば良いのでしょうか? どうすれば野外で最もコーヒーを楽しるのでしょうか?
[答え]アウトドアコーヒーといえば、パーコレーターでしょう。
もともとパーコレーターとは、アメリカ開拓時代に使用されていたコーヒー抽出器具で、火が起こせればコーヒーがいれられるという便利な器具です。 いまでも、その名残からか、アメリカの一般家庭では広く普及しているそうです。 形状は円錐形のやかんのようなもので、内部のフィルターの上に粗挽きのコーヒー粉を入れて、火にかけるだけでコーヒーができると言う代物です。 つまり、熱い炭の上に網を引き、パーコレータをセットすると食後のコーヒーができるのです。 アメリカ開拓時代というアウトドア中心の生活の中で普及したパーコレーターは、やはり、アウトドアには合うものです。
ここで、パーコレータの原理について解説したいと思います。 まず、やかんの中の水が沸騰して対流が起こります。 すると、お湯が中の管の間で押し上げられ、上部のフィルターの上まで到達します。 上部のフィルターを通って抽出されたコーヒーは再びやかんに落ちて、混ざります。 ちょうど良い濃さになるまでこれが繰り返されてコーヒーができあがります。 内部では、対流によって管の中を通りやすいように、管に向かって水が流れるようにできています。
では、実際のコーヒーの味わいはどうなるのでしょうか? 実際にパーコレーターでいれたコーヒーの味自信は、やや粉っぽく、香りもやや少ないのです。 特に粗挽きでないコーヒー粉を使用すると、粉っぽさが増してしまいます。 しかし、コーヒーが何度もコーヒー粉を通過するので、コーヒーの味わいはちゃんとでています。
で、アウトドアでの食事について思い起こして見ましょう。 基本的に、野外で活動すると汗をかくことになります。 すると、体は塩分を補給する必要があるため、味付けの濃い物をうまいと感じるようになります。 結果的に濃い味付けの食事の後は、濃い目のコーヒーが美味しく感じることになります。 パーコレーターではコーヒーの濃さを各自が自由に決めることができる事が利点となります。
という訳で、アウトドアのお供にパーコレータを携えてみてはいかがでしょうか? 一度に4〜5人分のコーヒーを簡単にいれることができます。 アウトドアで、食後のコーヒーと共におしゃべりを楽しむのも一興です。
これでも、まだパーコレーターに決め兼ねている人のために、一応、他にも2つの方法があることをお伝えしておきましょう。
一つは、イブリックと言う器具を使う方法です。 これは、カップに棒がくっついたような器具で、中近東で使用されている器具です。 原理は簡単で、カップの部分にコーヒー粉と水を入れ、カップを火にかざして抽出するだけです。 しばらく静かなところに置いて、上澄みを飲むのです。 一度にはいるコーヒーの量が少量であることと、パーコレーターよりも粉っぽいコーヒーが入ることが難点です。
二つ目は、使い捨てのカップに乗せるタイプのドリッパーを用意することです。 紙コップやマグカップの上に使い捨てのドリッパーを置き、コーヒー粉、お湯の順にいれてコーヒーの出来上がりです。 一度にはいるコーヒーの量が少量であることが難点です。 また、この場合には、コーヒー粉をしっかり挽いておかないと台無しになってしまいます。
最後に、パーコレーターを使って、最もワイルドにコーヒーをいれる方法を紹介しましょう。 コーヒーは豆の状態で持参し、現地で布かキッチンペーパーで包んで、石でコーヒー豆を潰して粗引きのコーヒー粉にするのです。 それをそのままパーコレーターにいれ、火にかけてコーヒーを作ることになります。 どうです、野外で手足を使っての挽きたていれたてのコーヒーを楽しむことができるでしょう。
普段とは一味違った局面でも、やっぱりコーヒーって楽しいものです。 皆さんもぜひ一度色々なコーヒーを楽しんでみてください。 以上、コラム第9回を終わります。