コラム第7回です。 これまでのコラムでは、美味しいコーヒーをいれるためのコーヒー豆の入手法についてを題材とさせていただきました。 今回からそろそろ、コーヒーをより美味しく入れるという題目に移っていきたいと思います。 つまり、美味しいコーヒーからより美味しいコーヒーへと焦点を移していく訳です。
今回の題目は、ずばりドリップコーヒーを美味しくいれるということです。 前々回のコラムで述べたように、コーヒーメーカーも立派なドリップコーヒーの一種です。 では、これらのドリップコーヒーの中で、最高の一杯のドリップコーヒーを入れるために最も適したものはどれでしょうか? どうすれば、自分自身これが最高の一杯だといえるコーヒーがいれられるのでしょうか?
[答え]ペーパードリップを極めればよい。
結論から言いますと、ドリップコーヒーは簡単であり、難しくもあります。 つまり、美味しいコーヒーを入れるのにはペーペードリップで純分堪能できるが、最高の一杯を目指せばどの方法でも難しいということです。 さらに他の手法も一長一短があり、嗜好品のコーヒーという意味ではどれが最高に良いとは一概に決めがたいです。 しかし、唯一初心者から熟練者までが美味しいコーヒーをいれる方法があります。 つまり、それがもっとも一般的なペーパードリップなのです。
結局のところ、より美味しくコーヒーをいれるために必要なことは、毎日自分でコーヒーをいれて飲みつづける事が最も効果的です。 という事で、取り合えずだまされたと思って、ペーパードリップのコーヒーを生活の中に取り入れて見てください。 きっと、気付いたときには、自分自身の最高の一杯というものができている事でしょう。 その意味でも、ペーパードリップは手軽さと、一度にいれる杯数の加減も簡単にでき、さまざまの時にコーヒーを楽しむ事ができます。
では、ペーパードリップでより美味しいコーヒーをいれる方法について述べていくことにします。 まず、始めにすることは、鮮度の良いコーヒー粉を準備し、量を入れる杯数に応じた分量をセットし、平らにならしておきます。 続いて、汲み立てで沸かし立てのお湯を、コーヒー粉の中心部に少量落とします。 分量的には、始めは、ドリッパーから数滴のコーヒーが落ちる程度を目安にしましょう。 慣れてきたら、コーヒーが1滴落ちるというレベルを目指してください。 これを蒸らしといい、コーヒー粉に予めお湯を含ませることによって、しっかり抽出する下準備となります。 この時、コーヒー粉がお湯を含んで、膨らみます。 ここまでできたら美味しいコーヒーをいれる苦労の半分は終了です。
続いて杯数分のドリップを行います。 基本的には、少しずつの量のお湯をコーヒー粉の中心部分にゆっくりと注いでいくことです。 注意点は、膨らんだコーヒー粉にお湯を入れ過ぎて粉の膨らみを壊してしまうことと、お湯を入れない間に粉が陥没してしまうことです。 こうならないように、常に気をつけ、常に少量ずつお湯を入れつづける努力をしましょう。
杯数分のコーヒーがはいったら、まだコーヒー粉の中にお湯が含まれている状態でドリッパーを外します。 コーヒー抽出の際には、最後の数滴にコーヒーの有害成分が含まれやすいからです。 これらは、抽出の際には泡となってコーヒー粉の表面にいるのですが、お湯が無くなると最後の数滴にいくらか混ざってしまうのです。 最後に、コーヒーを混ぜて、濃さを均一にします。 これで、美味しいペーパードリップはできあがりです。
最初は、意外と注意点が多いので難しく感じるかもしれませんが、何度もいれていると慣れてきます。 後は、自分の好みの味を出すために、微調整をしていってください。 自分の好みの味こそが、最高の一杯なのです。
では、次にドリップコーヒーにはどのようなものがあるのかについて述べていきます。 ペーパードリップ以外の抽出方法に興味を持たれている方は、機会があれば一度お試しください。 まず、基本的にドリップコーヒーという抽出方法に付いては、以下の3種類があげられます。
この中で、ペーパードリップは先ほども述べたように、もっとも簡単で、かつ、一般的な入れ方です。 対して、他の入れ方は、こだわりの専門業者が使う手法であり、彼らの求めるコーヒーの理想像が、これらの器具に合っていたということです。 では、ネルドリップとウォータードリップは、ペーパードリップと比べてどのように違うのでしょうか?
まず、ネルドリップについてですが、よりすっきりとしたコーヒーができます。 これは、紙よりも布のほうがきめが細かく、微細なコーヒー粉を漉すことができるのが理由の一つです。 もう一つは、ペーパードリップは紙についた臭いが出てしまうが、何度もコーヒーを入れているネルからは布の臭いがコーヒーに出ないということです。 結果として、ネルドリップの方が香りが高くなります。 しかし、ネルドリップにも弱点があります。 ネルにコーヒーの臭いがつくため、コーヒーの銘柄を変えた場合に美味しく入らないのです。 他にも、ネルの扱いが難しく、ネルの状態によっては臭みのついたコーヒーが出来上がってしまいます。 さらに、抽出も難しく、気を抜くと薄いコーヒーや香りの抜けたコーヒーが出来上がってしまいます。
続いて、ウォータードリップについてですが、最も香りの高いコーヒーが得られます。 しかし、煮沸していない水でいれるため、水の味がそのままコーヒーに大きな影響を与えてしまいます。 つまり、日本の都市部においては、よほどの浄水機を使わない限り、正直言って使わないほうが無難です。 また、コーヒーの中心部に有る銀皮と呼ばれる薄皮が残ると、えぐみが抽出されてしまいます。 結局漉す部分は、布なのでネルと同様の利害点を持っています。 機材も比較的高価で抽出に時間もかかりますが、香りの高さとすっきりとした味わいには定評があります。
で、上記の3種類の違いについてですが、確かに飲み比べると違いが一目瞭然です。 が、目隠しをした状態で一つだけ飲んでみると、意外と区別がつかないものです。 ネルドリップとペーパードリップの違いよりも、コロンビア豆とブラジル豆の違いの方が大きいです。 ウォータードリップとペーパードリップの違いよりも、中煎りのコロンビア豆とやや深煎りのコロンビア豆の違いの方が大きいです。 このように熟練した状態でも案外差は小さいので、あまりこだわる必要はなく、自分が一番なれているものが最も美味しいコーヒーをいれることができるのです。
という訳で、皆さんもペーパードリップで最高の一杯のコーヒーを目指して見ませんか? コーヒーの味は、論ずるよりも実際に自分でいれてみたほうがずっと良くなるものです。 習うよりも慣れろの精神で、自称コーヒー職人を目指してみましょう。 以上、コラム第7回を終わります。