最近、めっきり寄稿が遅くなってしまいましたが、第11回のコラムです。
さて、今回もまたより美味しいコーヒーをという点が主題なのですが、少々遊び心を入れて論じていきたいと思います。 コーヒーの特徴は、何と言ってもあの芳ばしい香りですから、香りを持つもの同士を組み合わせて遊んで見たいということです。
ところで、皆さんはタンポポコーヒーって聞いたことがありますでしょうか? また、代用コーヒーという言葉もあります。 これは、一体何者かと言うと、実はコーヒーの偽者でなのです。 そして、その正体こそがスパイスなのです。
なんだ遊び心って結局はコーヒーの偽者談義か、と思いわれた方もいると思いますが、半分当たりで半分外れです。 今回は、コーヒーの偽者となりえる事もあるスパイスとコーヒーそのものを合わせて見ようということが主題なのです。 つまり、コーヒーをさらに香り付けて遊んで見てみましょうということなのです。 そこで、今回の問いです。 本当にコーヒーとスパイスって相性が良いものなのでしょうか?
[答え]コーヒーにシナモンスティックって変ですか?
コーヒーの偽者を後回しとすると、まずは答えのひとつとして、カプチーノがあげられます。 これは、エスプレッソ・コーヒーとシナモンの愛称の良さを物語っています。 正しくは、エスプレッソ・コーヒーとシナモン、ミルクの3者ともに互いに愛称が良いのですが、合うことは確かです。
また、コーヒーの発祥地であるイスラム圏では、コーヒーは意外とスパイスと混ぜていれられています。 具体的には、シナモンやカルダモン、コリアンダー、クローブ、オールスパイス、ジンジャーなどです。 特に、遊牧民族であるベドウィン族は、コーヒーとカルダモンの組み合わせが特にお気に入りだそうです。 筆者も以前試して見たところ、カルダモンのエキゾチックで何か懐かしい香りがコーヒーと良くあって、なるほどと感銘を受けた事があります。
さて、上記の例で皆さんもコーヒーとスパイスの愛称の良さについて多少は抵抗感を少なくしていただけたでしょうか? では、本題のコーヒーの偽者である代用コーヒーについて述べていきたいと思います。
まずは、代用コーヒーの発祥についてですが、実は世界大戦に端を発します。 列強の植民地政策の対立化によって、敵国に対して輸出規制をかけ始めると、その国は当然物資不足に陥ってしまいます。 そこで、困るもののひとつが嗜好品となります。 そうです、コーヒー不足が代用コーヒーの発端なのです。
制海権を失った不幸な国々は、コーヒーに餓えつつも本国のヨーロッパでも採れるコーヒーに似た代物を見つけました。 それはチコリとタンポポだったのです。 そして、本物のコーヒーを恋焦がれながらも、これらの代用コーヒーを飲みつづけていたのです。 結果として、コーヒーに似た香りの飲み物としての文化を築き、未だに飲み継がれているのです。 これが代用コーヒーなのです。
日本にもこういった例はあります。 具体的には、麦飯やすいとんなどです。 食糧難の時代にまずいまずいと思い、米の飯を恋焦がれながら、麦飯やすいとん食べられた御年配の方々もいられると思います。 しかし、現代でもとろろ汁には麦飯が欠かせないですし、すいとんは現代の若者にははっきり美味しいと感じられているのです。 そうです、食糧難の時代に日本人はすいとんのような食文化を生み出していたのです。
話が少々脱線してしまいましたので、もとに戻しますが、これらの代用コーヒーは新しい飲み物としては実は結構いけるものなのです。 で、現代の人間はちゃっかりしたもので、実際に代用コーヒーとコーヒーをブレンドして一風変わったコーヒーとして商品化しているのです。 特に、チコリと深煎りコーヒーをブレンドしたものはミルクとの相性がとっても良く、カフェオレ用のコーヒーとして売られている場合があります。 また、タンポポコーヒーは単品としてですが、妊婦さんなどを対象としたカフェインレスのコーヒーとして、意外と人気があるのです。
出典は忘れてしまいましたが、コーヒーにチコリやタンポポコーヒーをブレンドしての楽しみ方を記述している書籍もありました。 こうして見てみると、コーヒーってかなり自由に楽しめる飲み物だと言うことがわかります。 興味を持たれた方が、一度探されて見てはいかがでしょうか?
なお、めでたく話しが一段落ついたところで、話はまたもや脱線します。 多分、今回のコラムを読んでいただいた方の中で、どうも解せぬ点を持たれた方がいると思われるからです。 それは、スパイスとハーブの問題です。 この件につきまして、少々記述をさせていただきます。
今回は、ハーブと呼ばれることのあるものも含めてすべてスパイスと総称しています。 つまり、世の中にはチコリやタンポポ、ジンジャーはハーブだと主張される方がいるということです。 原因は、香草をハーブと総称する西洋寄りの方と、スパイスと総称する東洋よりの方がいて、その間が極めて不明瞭なところがあるからなのです。 また、料理研究家の中には、生のものがハーブで乾燥したものがスパイスとして区別している方もおられるのです。 さて、これでは困ってしまいます。 で、筆者の見解ですが、ここは日本人的に、その場その場でスパイスとハーブでより抵抗感が無い方向に総称して良いので無いかと言うことです。 つまり、コーヒー好きの方は刺激を求められる方が多いので、単純にスパイスで総称したほうが受け入れていただきやすいだろうということです。 タンポポコーヒーはハーブティーだと主張されたい方もご理解頂けたでしょうか? 取り合えず、脱線話はここまでにしておきます。
結局のところ、コーヒーは嗜好品です。 従って、一風変わったコーヒーを試して見るのも、また一興という所でしょう。 こだわりをもちながらも、一味違った嗜好品を楽しむことで、日常生活をより豊かなものにしていきたいものです。 以上、コラム第11回を終わります。